「結局、何が言いたいの?」と聞き返される。成功した方法を、別の仕事でうまく使えない。「もっと分かりやすく」と言われても、何を変えればよいか迷う。
こうした場面で練習したいのが、抽象化と具体化です。難しい言葉に見えますが、身近な出来事から共通点を見つけたり、曖昧な考えを実際の行動に置き換えたりするときに使う考え方です。
抽象化は「つまり、どういうこと?」と考える練習。
具体化は「たとえば? 何をする?」と考える練習。
両方を行き来することで、出来事を整理し、別の場面でどう使うかまで考えられます。
この記事では、違いを説明したうえで、実際に答えられる練習問題を紹介します。さらに練習したい人には、MokuMoku Matchの抽象化力・具体化力トレーニングの使い方も案内します。
抽象化と具体化とは?違いを身近な例で理解しよう
抽象化:個別の出来事から共通点や仕組みを取り出す
抽象化とは、個別の情報から、目的に合う共通点や関係を取り出して捉えることです。単に難しい言葉へ言い換えることではありません。
たとえば、「会議前に議題を共有する」「旅行前に持ち物をリストにする」「作業前に手順を確認する」。場面は違いますが、行動する前に必要な情報を整理するという共通点があります。
このように整理すると、「別の作業でも、始める前の情報整理が役立つのでは?」と考えを広げられます。ただし、似た点があるからといって、どの場面でも同じ結果になるとは限りません。違う条件にも目を向けましょう。
具体化:大きな考えを、例や行動に落とし込む
具体化とは、抽象的な言葉に、実際の例や条件を与えることです。「情報を整理する」だけでは、人によって思い浮かべる作業が違います。
そこで、「明日の会議に向けて、担当者が今日17時までに議題と決めたいことを3項目にまとめ、参加者に共有する」と表します。誰が、いつまでに、何をするかが分かる形になりました。
抽象化するときの問い
- 何が共通している?
- どういう仕組みになっている?
- 一言で表すなら?
具体化するときの問い
- たとえば、どんな場面?
- 誰が、いつ、何をする?
- どこまでできたら完了?
抽象化だけでは話が曖昧になり、具体例だけでは伝えたい要点が埋もれることがあります。「要するに」と「たとえば」をセットで考えてみてください。
仕事や勉強のどんな場面で使える?
説明するとき:要点と具体例を分ける
起きた出来事を全部並べる前に、「共通する課題は、担当者が決まっていないことです」と要点を整理します。その後に、「たとえば、問い合わせ対応と資料確認で担当が未定でした」と事実を添えると、何を伝えたいのかを示せます。
振り返るとき:一度の経験を、次の工夫につなげる
「今回はうまくいった」で終わらせず、何が役立ったのかを考えます。たとえば「作業を始める前に完成条件をそろえた」という工夫なら、次の仕事でも使えるか検討できます。うまくいった理由が本当にそれなのか、ほかの条件も確認することが大切です。
目標を立てるとき:気持ちを、実行できる予定に変える
「勉強を頑張る」から、「夕食後に問題集を3問解き、間違えた理由をノートに1行書く」へ。大きな目標を、今日できる作業に落とし込む場面でも具体化を使えます。
抽象化と具体化は、専門知識の代わりになるものではありません。知識や経験をどう整理し、伝え、使うかを練習する視点です。
抽象化・具体化を体験できる2つの練習問題
まずは回答例を見る前に、自分ならどう答えるか考えてみてください。以下はこの記事用の練習問題です。MokuMoku Matchで実際に出題される問題と同一ではありません。
練習1:3つの工夫に共通する考え方は?
次の3つに共通する工夫を、1文で説明してください。
- イベント案内に、集合場所と受付の手順を書いた。
- 依頼メールに、期限と提出先を書いた。
- 商品の説明書に、使い始めるまでの操作手順を書いた。
考えるヒント:「案内」「メール」「説明書」という形ではなく、受け取る人に何を伝えているかに注目します。
抽象化の回答例と考え方を見る
回答例:相手が次の行動を判断できるように、必要な情報をあらかじめ明示している。
「全部文章である」も共通点ですが、それだけでは仕事に応用できる工夫が見えにくくなります。今回は「相手の次の行動を助ける情報」という目的に注目しました。
良い抽象化かを確かめるには、元の3例すべてに当てはまるかを確認します。一つにしか当てはまらない説明や、書かれていない効果の断定は避けましょう。
練習2:「相手に分かりやすく伝える」を具体化しよう
あなたは、同僚に資料の確認を依頼します。「分かりやすく伝える」を実現するために、依頼文に何を書くか考えてください。
考えるヒント:何を見てほしいか、いつまでか、どのように返してほしいかを整理します。条件は自分で設定して構いません。
具体化の回答例と考え方を見る
回答例:「添付資料の2〜3ページについて、金額と日付に誤りがないか、明日15時までに確認をお願いします。修正点は資料のコメント欄へ、修正がなければ『確認済み』と返信してください。」
確認する範囲、観点、期限、返答方法が分かる形にしました。ページや時刻は例なので、実際には相手が対応できる条件を相談して決めます。
具体化では、情報を増やすだけでなく、相手が行動するために必要な情報を選ぶことが大切です。
この2問はつながっています。練習1で見つけた「次の行動に必要な情報を明示する」という考え方を、練習2で別の場面に当てはめました。これが、具体と抽象を行き来する練習です。
回答は一つだけではありません。例と同じ言葉を書けたかより、なぜその答えにしたのか説明できるかを確かめてみましょう。
MokuMoku Matchで考える練習を続ける
自分で問題を用意したり、答えを振り返ったりするのが難しいときは、MokuMoku Matchのトレーニングを活用できます。作業仲間探しに加えて、一人で取り組める抽象化力・具体化力トレーニングを用意しています。
問題に答え、採点とアドバイスを振り返る
AI出題型のトレーニングでは、提示された問題に自分の言葉で回答します。採点結果では点数に加え、良い点・改善点・次回の課題を確認できます。
- 抽象化力:共通点の発見、本質の捉え方、理由の説明、言葉の簡潔さなどを振り返ります。
- 具体化力:具体例の分かりやすさ、行動への落とし込み、相手目線、実行しやすさなどを振り返ります。
「なんとなく答えた」で終わらず、どこを見直すか考える材料が得られます。AIが利用できない場合は、あらかじめ用意した問題や簡易採点に切り替わることがあります。
模範解答例と比べて、別の考え方を知る
回答後は、模範解答例と回答のポイントを確認できます。「自分は表面的な共通点を見ていた」「行動は書けたが、相手の状況を考えていなかった」など、比較して気づいたことを一つメモしてみましょう。
模範解答例は、唯一の正解ではありません。自分の回答と違っていても、理由が通っているか、問題の条件を満たしているかを確かめることが大切です。
履歴やポイントを、続けるきっかけにする
過去の問題や回答、採点結果を履歴で見返せます。ポイントやランキングも、取り組みを続けるきっかけとして利用できます。
点数や順位だけでなく、「以前より理由を説明できた」「具体的な行動まで書けた」といった回答の変化に注目してみてください。採点結果は回答を振り返る目安であり、人の能力全体や知能を測るものではありません。
トレーニングを学びにつなげる使い方
- まずは自分で答える
上手な文章にすることより、共通点や行動を自分の言葉にすることを優先します。理由も短く添えてみましょう。 - 改善点を一つ選ぶ
採点や模範解答例を見たら、「理由を補う」「誰がするかを書く」など、次に意識することを一つに絞ります。 - 手元のメモで書き直す
回答をもう一度、ノートなどに書いてみます。アプリでの再回答を前提にせず、表現をどう変えられるか練習しましょう。 - 日常で一度使う
依頼メールに期限と確認事項を書く、勉強で間違えた問題の共通点を探すなど、実際の場面で試します。
最初は、生活の中で取り組むタイミングを一つ決めるだけでも構いません。問題の難しさや回答量によって必要な時間は変わるので、毎回同じ速さで終える必要はありません。
大切なのは、解いた数を増やすことだけでなく、次の説明や行動で何を変えるかまで考えることです。
よくある質問
抽象化と具体化は、どちらから始めればよいですか?
話の要点をまとめにくいなら抽象化、考えを行動に落としにくいなら具体化から試してみてください。慣れてきたら、共通点を取り出し、別の例に当てはめるところまで練習しましょう。
専門知識がなくても取り組めますか?
この記事のように、案内文や勉強の予定など身近な題材から考え方を練習できます。分からない言葉があれば意味を確認し、短い回答から始めてみてください。
一人で利用できますか?
トレーニングは一人で取り組めます。募集に参加したり、勉強仲間を見つけたりしてから始める必要はありません。
何度でも回答できますか?
各トレーニングは1日1回までです。同じ日に抽象化力と具体化力のように、異なる種類に取り組むことはできます。回答後は結果を振り返り、書き直しの練習には手元のメモを使ってみてください。
AIの採点が低いと、考える力が低いということですか?
そのように判断する必要はありません。採点はその問題への回答に対する目安です。AIの評価に誤りやばらつきがあることも踏まえ、点数だけでなく、指摘に理由があるかを自分でも確認してください。
まずは一つ、自分の言葉で答えてみよう
抽象化は「共通する考え方」を取り出し、具体化はそれを「実際の例や行動」に変えること。仕事の説明、日々の学習、振り返りなど、身近な場面で練習できます。
MokuMoku Matchでは、問題に答え、採点や模範解答例を参考にしながら、自分の考え方を見直せます。まずは一つ答えを書き、次に直したい点を一つ見つけるところから始めてみませんか。